THE SPOTLIGHT JOURNAL

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やっぱり電力は足りなかった…北海道全域ブラックアウトの教訓

地震発生からわずか2日でほぼ全戸の停電が解消の見込み

 

9月6日未明、北海道胆振(いぶり)地方で発生した最大震度7地震により、北海道全域295万戸にも及ぶ大規模な停電が発生した。北海道電力によれば、7日の午前3時時点で全体の約3分の1となる96万4000戸、午前6時時点で全体の4割超の約130万9000戸で停電が解消したと発表した。

 

政府は7日夕方、火力発電所などの再稼働や本州からの電力融通、道内企業からの電力買い取りなどで供給力を8日中に確保し、ほぼ全戸の停電が解消できる見込みを発表した。が、世耕弘成経済産業相は電力が完全に復旧するまでの節電を改めて呼びかけている。

 

今回の停電が、雪が降りしきる極寒の真冬に発生しなかった事は本当に不幸中の幸いだった。

 

そして、当初は1週間程度かかると思われていた復旧も、一先ずは2日程度で電力を確保できるようになった。これも不眠不休で現場の復旧作業に従事してくださった方々がいてこそ…心より感謝申し上げます。

 

もしもあの時、泊原発が稼働していれば…

 

今回の大停電の原因は、震源地近くの厚真町にある苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所地震の影響で停止し、需要量を賄おうとした他の火力発電所も設備への負荷から安全装置が作動して運転停止した事で電力供給の遮断が連鎖する「ブラックアウト」(全系崩壊)が発生した事である。

 

苫東厚真火力発電所の総出力は、2006年時点で約165万kw…原発が稼働していない現在の北海道の電力需要の約半分を賄う主力だった。が、それに依存していたため、他の火力発電所もその稼働できるキャパシティを超えてしまったのだ。

 

さらに、本州から電流を受け取ったり、道内の再生可能エネルギー事業者が電流を送るための送電線網があるが、この設備を使うためにも北海道電力から電力を融通してもらう必要があり、事業者のほとんどは発電や送電の停止を余儀なくされた。水力発電太陽光発電風力発電も運転をストップしてしまったのである。

 

まさに「八方塞がり」。

 

この件について、「泊原子力発電所をもっと早く再稼働していればブラックアウトは避けられた」という声も多かったが、まったくその通りであると思う。

 

泊原子力発電所(以下、泊原発)は、北海道で最初かつ現在に至るまで唯一の原発である。北海道電力のHPによれば、その総出力は207万kw.(1号機~3号機の合計)で、2010年度には北海道全体の使用電力の約44%を賄っていた。

 

しかし、東日本大震災福島第一原発の事故を受けて2012年5月以降は停止状態が続いており、北海道電力はその不足分を補うべく、2016年度で約74%を火力発電(石油火力と石炭火力の合計)に依存している状況となっていた。

 

因みに「今回の地震泊原発も外部電源が喪失した」という報道が一部あったが、これは地震が直接の原因ではなく地震に伴う停電によるものであり、泊原発は非常用発電に切り替えて使用済み燃料プールの冷却を継続。外部電源も6日の午後1時までにすべて復旧した。

 

今回のブラックアウトは、火力発電に大きく依存する北海道の電力事情の脆弱さを浮き彫りにしたといえる。繰り返すが、寒さ厳しい真冬に発生しなかった事が何よりの幸いであった。

 

「電力は足りている」と豪語していた反原発界隈は沈黙?

 

上述した様に、泊原発を再稼働できれば今回のブラックアウトを回避できた可能性は非常に高い。しかし、2012年の5月以降は点検のため運転停止状態であり、再稼働する見込みは未だ立っていない。

 

もしかして、再稼働に反対するこういった声に忖度しているのだろうか?

 

泊原発 運転停止5年、再稼働反対デモ 札幌に300人(毎日新聞 2017年5月5日)

 北海道電力泊原発(北海道泊村)の運転停止から5年となった5日、札幌市中央区大通公園で再稼働反対を訴える市民団体のデモがあり、約300人(主催者発表)が参加した。

 脱原発を訴える三つの市民団体が主催。そのうち「Shut泊」(札幌市)の川原茂雄・共同代表は「泊原発に何かあれば、北海道の産業や観光に大きな打撃となる。未来を守るために廃炉にしよう」と呼びかけ、参加者らは「原発なくても電気は足りている」などと声を上げた。

(引用終了)

<出典>https://mainichi.jp/articles/20170506/k00/00m/040/066000c

 

原発が無くても電気が足りている」…足りなかったから今回の大停電が起きたのではないだろうか?

 

福島第一原発の事故以降、日本中の原発が運転を停止した事で深刻な電力不足が懸念された。これは、民間も含めて老朽化した火力発電所もフル稼働させる事でなんとか回避された。

 

が、反原発界隈は「ほら見ろ!やっぱり原発が無くても電気は足りているじゃないか!」と味を占めてしまったと言える。その結果中々再稼働が進まず、2018年9月現在、東日本では未だに1基も原発が再稼働していない。

 

しかし、これによって化石燃料の輸入コストもかさんで電気代が上昇。北海道電力泊原発を停止して以降、2度にわたって電気料金の値上げを余儀なくされた。同ホームページによれば、2010年度の燃料費・購入電力料が1212億円だったのに対し、2016年度のそれは2342億円と2倍弱に上昇している。

 

日本の電力需要は今後も増加していくと予想されている。

 

今年7月には、記録的な猛暑から冷房を使うための電力需要が高まり、その供給能力の95%にまで迫った。関西電力は稼働できる原発3基と火力発電所30基をフル稼働させたがそれでも間に合わず、東京、中部、北陸、中国、四国電力の5つの電力会社から計100万kWの緊急融通を受ける事態となった。

 

原発を再稼働している西日本でさえ電力不足が懸念されていた中で、今回のブラックアウトが発生したのである。

 

勿論、「原発反対」と主張するのは自由だ。私だって原発依存からは段階的に脱却していくべきだろうが、それに代わりうるエネルギーが無い現状では、原発を再稼働して切り抜けていくしかないと考えている。

 

だからこそ反原発界隈には「ならば原発以外に電力を安定的に供給する代案はあるのか」と問いたいのだ。もっとも、そんなの「のれんに腕押し」にしかならないだろうが…

 

なお、現にこの記事を書いている最中、国会前ではこんな集会が催されていたようだ。

 

首都圏反原発連合@MCANjp

306回【再稼働反対!首相官邸前抗議】終了、約700人が参加しました!昨日の北海道地震では、泊原発が事故を起こさないかと全国の多くの人々が心配しました。現在7基の原発が稼働中ですが総発電量の原発の割合はわずか2%足らず。原発なくても電気は足りてる!危険な原発の再稼働反対! #金曜官邸前抗議

 

2018年9月7日20時08分

 

自分たちは電気に不自由しない生活をしておいて呑気なものだ。こんな所で騒いでないで、被災地へボランティア活動に行って来いよ。

 

<参照>

北海道全域の停電、明日中にほぼ解消へ 政府が見通し:朝日新聞デジタル

《北海道地震》道内全域停電をもたらした、ブラックアウトとは?

風力・太陽光発電も停止 北海道電力の送電網使えず | NHKニュース

電気は足りているのに、再稼働は必要なの? - 北海道電力

泊原発、一時外部電源喪失=非常用発電機でプール冷却-北海道地震:時事ドットコム

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