THE SPOTLIGHT JOURNAL

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「肺がんで死亡の原発作業員、被曝による労災認定」に隠されたNHKの印象操作

福島第一原発 作業員がんで死亡 被ばくによる労災と認定(NHK 2018年9月4日)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射線量を測定する業務などにあたっていた50代の男性作業員が肺がんを発症して死亡し、厚生労働省は被ばくによる労災と認定しました。原発事故の収束作業をめぐって、がんで死亡したケースが労災と認定されたのは初めてです。

労災認定されたのは、福島第一原発の事故後、放射線量を測定する業務などにあたっていた東京電力の協力会社の50代の男性作業員です。

厚生労働省によりますと、男性は事故直後から収束作業の一環として放射線量の測定業務などにあたり、その後も3年前まで働いていましたが、肺がんを発症して死亡しました。

厚生労働省は遺族の意向として死亡した時期などを明らかにしていませんが、男性の被ばく線量は合わせておよそ195ミリシーベルトに上り、被ばくによってがんを発症した労災だと先月31日に認定しました。

(引用終了)
<出典>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/k10011608441000.html

 

死亡した男性作業員は、1980年から複数の原発放射線量の管理業務にあたっており、福島第一原発では事故発生直後から2015年9月まで作業に従事していた。肺癌が見つかったのは2016年2月との事。

 

また反原発の界隈が大騒ぎしそうなニュースだが、このNHKの記事には読者をミスリーディングさせる表現がある。

 

NHKは「福島第一原発 作業員がんで死亡 被ばくによる労災と認定」と見出しを付け、「50代の男性作業員が肺がんを発症して死亡し、厚生労働省は被ばくによる労災と認定」…いかにも、この男性作業員が肺がんで死亡した原因が「福島第一原発放射線被曝」によるものであるかのように書いている。

 

しかし、厚労省は被曝が原因の労災の認定にあたって「累積100m㏜以上」「被曝から発症までの期間が5年以上」などとする基準を設けており、飽くまでその基準に照らして男性の労災を認定したに過ぎない。

 

死亡した男性は、30年以上に渡って複数の原発放射線量の測定業務などに従事しており、その累積被曝線量は約195m㏜であった。このうち福島第一原発では約74m㏜被曝していた。

 

つまり、「肺癌で亡くなった原発作業員に厚労省が被曝による労災認定をした」という事象だけでは、「男性作業員の死因である肺癌が、福島第一原発での放射線被曝によるものである」という事を証明できないのだ。

 

これはNHKによる悪質な印象操作であると言わざるを得ない。

 

発癌のリスクはむしろ普段の生活習慣に多く潜んでいる

 

とはいえ「本当に被曝が原因で癌になったかもしれないじゃないか」と思われる方もいるだろう。確かに、放射線被曝と発癌リスクに相関性があるのは事実だ。

  

国際放射線防護委員会(ICRP)によれば、大人も子どもも含めた集団において被曝によってがん死亡率が増加するのは「100m㏜あたり0.5%」との事だ。つまり、累積200m㏜の被曝によってがん死亡率は1%増加する。

 

しかし、発癌の原因には放射線被曝以外にも様々な因子が考えられるし、一つの因子のみならず複数の因子が重なり合って発症する場合もある。

 

現在、癌が日本人の死因の第1位である事は良く知られているが、その約30%の人間が癌で亡くなっていると言われており、その主たる原因は喫煙や食事、その他生活習慣であるとされる。

国立がん研究センターによれば、喫煙や大量飲酒の習慣は1000~2000m㏜の放射線に被曝するのと同程度、肥満や痩せ過ぎ、運動不足、高塩分食品の日常的な摂取は200~500m㏜の放射線被曝と同程度の発癌リスクがあるとの事である。

 

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<画像出典>

https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1s-01-9.pdf#search='%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E8%A2%AB%E6%9B%9D%E3%81%A7%E7%99%8C%E3%82%92%E7%99%BA%E7%97%87%E3%81%99%E3%82%8B%E7%A2%BA%E7%8E%87'

 

どうだろうか?

 

放射線被曝よりもむしろ、自分自身が無意識に重ねている生活習慣の中にこそ多くの発癌リスクが潜んでいる事がお分かりいただけるだろう。

 

肉や脂っこいものばかり食べていたり、酒を飲み過ぎてはいないですか?適度に運動していますか?喫煙もほどほどに。

 

厚労省の労災認定が遅過ぎたのも事実

 

もう一度書こう。厚労省は飽くまで「男性の累積の被曝線量や発症までの期間から被曝による労災を認定した」だけである。この男性の肺癌の原因が放射線…特に福島第一原発放射線の被曝によるものという事実は科学的かつ客観的には証明されていない。

 

さらに、その累積の被曝線量は30年間で約195m㏜、福島第一原発での被曝も約74m㏜で、がん死亡のリスク上昇率は1%にも満たない。むしろ、「癌を発症した原因は被曝以外にある」と考えた方が理にかなっているといえる。

 

にもかかわらず、「福島第一原発 作業員がんで死亡 被ばくによる労災と認定」という見出し…これは明らかにNHKによる悪質な印象操作と言わざるを得ない。

 

しかし、男性に労災認定されたのはその死亡後であり、厚労省の労災認定が遅過ぎたのも事実である。その辺りの闇も、今後明らかにしなければならないだろう。

 

亡くなられた作業員のご冥福を心よりお祈りします。合掌

 

<参照>

肺がんで死亡の男性に労災認定 福島第一原発の作業員:朝日新聞デジタル

https://www.ncc.go.jp/jp/other/shinsai/higashinihon/cancer_risk.pdf